キャリアは社内で築く?それとも転職する?迷ったときの判断基準とは

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キャリアの多様化や人材の流動化が進み、転職することが当たり前になりつつある今、将来のキャリアに悩むのは自然なことです。転職によって満足できるポジションや年収を実現した方が多数いる一方、「転職しない方が良かった」と感じてしまう方がいるのも事実。勢いで転職を判断して失敗することを避けるには、今の会社で自分が望むキャリアが築けるか、犠牲にしたくない自分の価値観を守れるか、転職市場で自分に市場価値があるかの3つの判断基準に沿って、自分のキャリア形成について考えてみるのが良いでしょう。

今の会社でキャリアを築けるか?

まずは「今の会社で自分が望むキャリアを築くことができるか?」を考えてみましょう。これは最もリスクなく、自らのキャリア形成を実現する方法です。今の会社に、昇進や昇格、職務の拡充やジョブ・ローテーション、社内公募など、社員が社内でキャリアを築ける仕組みがあるかを確認します。自分が築きたいキャリアが社内にあれば、社内の制度を十分に活用し、上司や人事担当者に相談するなどしましょう。

今の会社でキャリアを築けないと感じる場合は、会社の制度など、仕組みに課題があるのか、上司や先輩のキャリアの軌跡が自分の理想とズレているのか、それとも他に課題があるのか、整理してみましょう。自力で課題解決の見通しが立たない、難しい場合は転職することも視野に入れていることをふまえて、上司に相談するのもひとつの手です。

もし、自分の望むキャリアがよく分かっていない場合は、キャリアプランを作成することから始めると良いでしょう。

※キャリアプラン作成に関する参考記事

譲れない自分の価値観を守れるか?

仕事で経験を積んでいくと、「これを失うとキャリアに自信が持てない」「仕事にやりがいを感じられない」という要因があります。これを8つの分類にまとめたものを「キャリアアンカー」といいます。

誰もが仕事に対してどうしても譲れない価値観であるキャリアアンカーをひとつまたは複数持っているもの。自分のキャリアアンカーが、8つの分類のうちのどれかを知り、自分のキャリアアンカーを失わずに働けるのはどこか、を考えてみましょう。転職することで自分のキャリアアンカーを失ってしまう可能性があるのであれば、多くの場合、その判断は避けるべき。逆も然りで、社内では、もはやそれを守れないのであれば、転職すべきといえます。

あなたのキャリアアンカーはこのうちのどれに当てはまるか?自分の今の環境において、それを守ることができるのか?まずは自分で考えてみましょう。

1. 専門・職能

キャリアアンカーが「専門・職能」の方は、自分の得意な分野で能力を伸ばしたいと考えます。専門職や技術職を希望し、自分の専門領域で働くことができ、自分の専門能力が成長できる仕事・環境は失いたくないという価値観を持っています。

2. 職務管理

キャリアアンカーが「職務管理」の方は、マネージャーや管理職になりたいと考え、昇進や報酬の多さを重要視します。自分の責任や裁量権が増したり、部下が増えたり、給与が上がる仕事は失いたくないという価値観を持っています。

3. 起業家的創造性

キャリアアンカーが「起業家的創造性」の方は、自分で会社や事業を立ち上げたいと考えます。就職よりも起業するという方もこのタイプ。企業に所属していても事務的なルーティンワークは苦手と考え、自分で新規事業を担いたいという価値観を持っています。

4. 保障・安定

キャリアアンカーが「保障・安定」の方は、保障のある環境や仕事の安定性を維持したいと考え、終身雇用制度がある会社で長期間働くことを大切にします。安定した給料や福利厚生が充実している仕事を失いたくないという価値観を持っています。

5. 自律・独立

キャリアアンカーが「自律・独立」の方は、企業や環境にとらわれず、自由に働きたいと考えます。仕事上では組織のルールに縛られることを嫌い、不安定な働き方や不安定な給与でも自由に働ける仕事を失いたくないという価値観を持っています。

6. 奉仕・社会貢献

キャリアアンカーが「奉仕・社会貢献」の方は、社会や他者に対して貢献する仕事ができたときに喜びを感じます。昇格や報酬より奉仕活動や社会貢献で人の役に立っているかを重要視する価値観を持っています。

7. 挑戦

キャリアアンカーが「挑戦」の方は、困難な状況を乗り越えることで仕事の充実感を得ます。解決の難しい課題に取り組める仕事や、新しくて意義のある挑戦を与えてくれる仕事は失いたくないという価値観を持っています。

8. ライフスタイル(生活様式)

キャリアアンカーが、「ライフスタイル(生活様式)」の方は、ワークライフバランスを大切にした生き方を望みます。プライベートと仕事のバランスを柔軟に取れる仕事は失いたくないという価値観を持っています。

仕事に対して譲れない自分の価値観が何か、というキャリアアンカーを守れるかは、今の会社でキャリアを築くか、転職してキャリアを築くかの判断基準となります。今の会社の中で別の部署も含めて自分のキャリアアンカーと一致する仕事があるかを探すことも大切です。

現在の自分に市場価値はあるか?

社内には自分が築きたいキャリアがなく、キャリアアンカーとも一致する仕事がない場合は転職を考えるべきタイミングです。ただ、転職したいと考えた場合、自分が社外から求められる人材であるかという、現在の自分の市場価値も判断基準となります。

自分の経験やスキルが希少であり、その経験やスキルを求める企業が多数ある場合は、自分の市場価値が高く求められる人材であるといえます。自分の市場価値は、専門スキルを磨くことや複数のスキルを身に付けることに加え、市場の変化に応じてどんな仕事でも成果を出せる人材になることでさらに高まります。

自分のキャリアの棚卸しをして、これまで積み上げてきた経験やスキルを整理し、今の会社以外でも通用するキャリアがあるかどうかについて考えましょう。ポテンシャル採用が通用する20代とは異なり、ハイキャリア志向のビジネスマンの転職においては、自分の市場価値をしっかり示すことができなければ転職成功は難しいもの。自分の市場価値が高まっていると感じるまでは、現職を続けながらスキルを磨くほうが良いかもしれません。


まとめ:キャリア選択の判断基準

社内でキャリアが築けないと感じたときには勢いで転職を決断するのではなく、3つの判断基準から自分のキャリアについて考えを整理し、自分だけの判断基準を持つことが重要です。その上で、やはり転職して新たなキャリアを築きたいと考えた場合には、転職先で築けるキャリアが自分のキャリアアンカーと一致するか、自分の市場価値が社外でも通用するかを考えましょう。

もちろん転職の際には、自分の市場価値をより魅力的にアピールできるように、日々スキルを磨くことも忘れずに。

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