【対談レポート】LinkedIn村上氏登壇 - 30代からのキャリア形成をアップデートせよ!

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ランスタッドでは「今を生きるアクティブビジネスマンのキャリア形成支援」をコンセプトに、イベント “Randstad Career Night”をスタート。その記念すべき第一回では、「30代からのキャリア形成をアップデートせよ!ポストコロナ時代に求められる人材になるためには?」をテーマに、ランスタッドのキャメロン・ブレットと、Linkedin日本代表の村上 臣様によるオンライントークセッションを開催。350名を超える方のお申し込みをいただき、大盛況のうちに幕を閉じました。

ここでは、お二人によるトークセッションの内容の一部お届けします。特に30代からのキャリア形成やリーダーシップ力の形成に大変参考となる内容ですので、ぜひご一読ください!

※この記事は、2021年6月17日に開催されたRandstad×LinkedIn共催ウェビナー「30代からのキャリア形成をアップデートせよ!ポストコロナに求められる人材になるためには?」の内容を一部編集したものです。

対談者のご紹介

Cam (1)

Cameron Brett(キャメロン・ブレット)
ランスタッド株式会社
取締役 プロフェッショナル事業本部長
 
カナダのクイーンズ大学を卒業後、2002年に来日。大阪において日系のブティック型リクルート会社へ就職。日系や米国系リクルート会社においてライフ・サイエンス業界を専門として担当。転職支援事業の立ち上げを目的とし、2014年にランスタッド入社。現在、ランスタッドのプロフェッショナル事業本部及びエンジニア事業本部を管轄。一橋ICS MBA。

LinkedIn-Shin Murakami

村上 臣
LinkedIn 日本代表
 
青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。2000年8月、株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社の合併に伴いヤフー株式会社入社。2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月に7億2200万人が利用するビジネス特化型ネットワークのリンクトイン(LinkedIn)日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。主な著書に『転職2.0』(SBクリエイティブ)がある。
 

トークセッション

キャリア形成の意識に見られる大きな変化

村上さん:

キャリア形成の変化について、日本や海外の事情も含めて話していきたいと思いますが、キャメロンさんから見て、日本人の転職に対する意識に変化はみられますか?

キャメロン:

私はこの業界に15〜16年いますが、ずいぶん変わりましたね。かつては余程のことがなければ転職しませんでしたし、転職といえば何か問題があるからという認識でした。

最近の転職に対する意識の変化としては、2点あります。

1点目は個人やスキルの成長をめざして、できる環境があれば転職に対してオープンマインドになっているという点です。

2点目は「そこまでガマンしなくていい」という意識への変化です。社会人が新卒からリタイアするまで働く時間は、9万時間と言われています。であれば、もっとハッピーな気持ちで働こう、もっと成長できるなら転職を検討しようという方向に変わってきてますよね。

村上さん:

私は大学で講義もしていて若者と話す機会があるんですが、20代の意識は私自身の時代と全く違います。そもそも新卒で入る会社に、ずっといる気がないんです。「ファーストステップとして、どの会社がいいか教えてください。」とよく聞かれます。実際、新卒で採用された人の半数が3年の間に転職するのが直近の動きですね。

30代で大企業に勤めている人の場合は、「終身雇用もなくなってきたことだし自分のキャリアを考えなくちゃいけないかな」という方が多いように思います。

キャメロン:

かつては生涯1社経験が理想だったわけですが、最近では人事採用担当者でさえ「1社しか働いていないの?なぜ?」という意識が増えてきており、転職を経験している人により魅力を感じる傾向が強まっています。

村上さん:

それは大きな変化ですよね。「オンボーディング」という言葉があって、3カ月で社内の様子に慣れて、それから100%の力を発揮してくれたらいいと。たしかに、転職経験のある人とない人ではキャッチアップの速度が変わってきます。

例えば私の場合、ヤフーとソフトバンクに合計で17年ほどいました。その後、外資系のLinkedInへ転職したわけですが、それまでと全く違うカルチャーだったし、話す言葉も変わり、最初は大変でした。でも、それまでも転職を経験していたので、新しい環境で自分からプロアクティブに動いて、どこに何を聞けばいいかを心得ていたんですよね。

キャメロン:

そのことを知っているかどうかは大きな違いですよね。

もちろん、長く1社で働き続けることが悪いということではないですよ。2〜3年間で別の部署に異動すれば、同じ会社でもさまざまな経験を積めて成長できますからね。

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ジョブ型がもたらす人材のグローバル化

村上さん:

メンバーシップ型、ジョブ型という言葉がありますね。最近では日本もジョブ型に移行しつつあります。メンバーシップ型というのは、新卒で採用して、まずは会社を知ってもらってから人に仕事をつけていく。一方でジョブ型はポジションありきです。

先ほどの「同じ会社内で異動して、別の部署を経験する」というのはジョブ型っぽく聞こえるんですが、メンバーシップ型とジョブ型の違いは、どこにあるのでしょうか?

キャメロン:

ポイントは「キャリアを誰が決めるのか?」という点ではないでしょうか。いわゆるキャリアのオーナーシップですね。

ランスタッドの場合、私が担当するプロフェッショナル事業本部の中には300名ほど働いているんですが、ここ1年半の間に10数名が社内で転職しました。これはジョブ型です。なぜなら、人事が決めたとかではなく、本人たちが自分で考え、手を挙げて、やってみたいと言ったからです。

村上さん:

私もまさに同じ思いです。キャリアのオーナーシップは大切ですね。

人事の差配で転勤やロールチェンジというのは、今の時代、若い人にはなかなか厳しいんです。自分のことは自分で決める、幸せを自分で定義したいという人が日本でも増えていますね。

日本の市場の中でも、グローバルタレントの進出が進んでいるんでしょうか?

キャメロン:

はい、増えています。そして、これからもっと増えると思います。

私は20年ほど日本に住んでいますが、日本に来たばかりの当時はコンビニで外国人は働いていませんでしたよ。東京だと、今ではコンビニで働いている半数以上が外国人ではないかなと思います。求人票も以前なら「日本人のみ」と書かれていました。その後、「日本語母国語」「日本語ネイティブ」という表現に変わり、今では「日本語上級」のような表現も増えています。

もはやスキルさえあれば日本語を要求されないという職種さえ増えていますね。例えば人手不足で悩んでいるAIエンジニアとかですね。2030年まで12万人ほど人材不足だとか言われてますからね。

このように人材のグローバル化・多様化が進む中では、IQや他の人の気持ちがわかるEQに加えて、環境適応能力が必要になると思っています。AQと呼ばれますが、アダプタビリティ(Adaptability)こそが多様な人と一緒に働く環境では必要となります。

村上さん:

結局、歩み寄りが大切だと思います。コンビニの例でもわかるように、日本では今後の人材不足が見えているので、お互いに学びながらやっていこうと。

キャメロン:

その点においては今後は共感、エンパシー(Empathy)が大切になると思いますね。

この共感する力を身につけるためには、「今できないこと」をやってみることが有効です。例えば初めて楽器を学んだりサーフィンを始めたりといった、ゼロからスタートしてみることです。なぜかというと、できないことをに挑戦するということは自分のコンフォートゾーンから抜け出すということで、ビギナーマインドを持つことができるわけです。そうすると新しい環境で苦労している人のことが理解できるようになります。つまり共感度が上がるんです。

これからのリーダーに1番必要なスキルは、共感度を高めること。エンパシーがとても重要になると考えています。

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ポストコロナを見据え、今身に付けるべきスキルとは?

村上さん:

新型コロナのワクチン接種も普及し、秋頃から経済活動が本格的に復活すると考えたとき、どういうことに気をつけてスキルアップすればいいでしょうか?

キャメロン:

アドバイスの前に伝えたいことがあります。それは、「人生は1回きり」ということです。

まず自分が本当にハッピーになれる、理想の生活をデザインしましょう。現状を分析して、理想とのギャップをなくすために何をすればいいのか考えることです。それが、今身に付けるべきスキルと言えます。

村上さん:

比較対象やロールモデルを見つけると、「理想の生活」がより考えやすいですよね。LinkedInを利用して同じような経歴の人を探すなど、外を見る習慣をつけるといいかもしれません。ネットワークを通じて学ぶという方法です。

キャメロン:

その通りですね。必要なのは人脈です。他の人から学んで、自分の理想を知ることです。

そして、自分自身のブランドも作らないといけません。LinkedInのことを転職サイトと思っている人がいるかもしれませんが、セルフブランディングや人脈作りにも役立つプラットフォームなんです。

村上さん:

転職の際に自己PRすると言っても、日頃から外に向けて発信していないと、何が世の中にとって手応えがあることなのかわかりません。フィードバックから気づくことが多いですからね。

発信を通じてセルフブランディングができている優秀な人は、すでに多くの方とつながっていて、結果として自然と転職の声もかかるから、転職がどんどんラクになると思います。

村上さん

ヘッドハンター活用のススメ

キャメロン:

深い知識のある優秀なヘッドハンターも、ぜひ何人か人脈の中に入れておきましょう。半年に一度くらい会って話をすると、気づくことがたくさん出てくると思いますよ。

村上さん:

ところで、そうした転職エージェントのサービスでは、ヘッドハンターとかキャリアコンサルタントとか色々な言葉がありますよね。

キャメロン:

初対面で「何をやっているんですか?」と聞かれたら、私は今でも「ヘッドハンターです」と答えています。自分の領域に詳しいプロフェッショナルなイメージが、"ヘッドハンター”という言葉にはありますから。キャリアコンサルタントは、職務経歴書の書き方を教えたりするイメージです。

ただ、これは言葉の定義だけのことで、社内的には私も肩書はコンサルタントなんですよね(笑)

言葉の定義はともあれ、転職活動中かどうかを問わずヘッドハンターとは定期的に話した方がいいと思います。フィットする案件が出てきたら、向こうから提案してくれますからね。

村上さん:

私の場合も、ヘッドハンターと呼ばれる方達の門戸をたたいたこともありましたね。

ヤフーからの転職はかなり悩んでいたので、「グローバルな仕事をやりたいけれど、何かありませんか?」とまず人事役員に相談し、いろいろと提案してもらいました。ところが気に入った仕事の赴任先はパリで、もちろんパリにも住みたかったけれども、家庭の事情で東京から離れるのは難しかったんです。タイミングが合わなかったので、外に目を向けることにしました。すると自分では思いもよらない自分へのニーズが世の中にあることがわかったんですね。例えば、大企業のCIO(Chief Information Officer)ポジションをオファーされたんです。私は元エンジニアですし、経営した経験もあるから、外部からはそう見えるのかと貴重な気付きを得られました。ただ少し私向きじゃないな、と思ったんです。

外の声や情報を求めて、フィードバックを自分から求めていくことが大切ですね。面白そうなオファーでもスキル不足を感じたら、そこから何を学べばいいか、何を経験すればいいか見えてきますしね。

キャメロン:

「やりたいこと」と「できること」は違いますからね。ギャップを知ってプランを立てるのも1つの方法です。

キャリアコンサルタントやヘッドハンターと会うメリットの一つは、彼らに自分の経歴を説明したら、たくさん質問されるので、自分自身のことを深く考えさせてもらえる点です。これで自分に何が足りないのかが具体的に見えてくるんです。

村上さん:

自分を振り返って己を知る、そして外部の目を利用していく。これが自分中心のキャリアの構築ですよね!

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転職を考える30代へ向けたメッセージ

村上さん:

最後に転職を考える30代の方に向けてアドバイスをお願いします。エンパシーは重要な能力ですが、他に何が必要ですか?

キャメロン:

間違いなくデジタルリテラシーです。

業種・役職を問わず、これかの時代には組織すべてのデジタルリテラシーを上げていく必要があります。とはいっても、エンジニアやプログラミングの勉強をしなさいということではありません。人事の方ならHRテック、経理財務の方ならフィンテックの勉強などが必要だと思います。

また、自らが目指す職種やポジションを見据えて、重要になるスキルを学ぶべきだと思っています。例えば私の場合はマネジメントに携わっており、投資の判断やプロジェクトをどう動かすかを考える必要があります。そうすると、Courseraのプロジェクトマネジメントを受講する、などの学習方法があります。

寝る時間が8時間、働く時間が8時間、そこで残りの時間の使い方をよく考える。いつも成長を目指して、勉強する時間を作ることです。

村上さん:

世界経済フォーラムなども今後必要なスキルのレポートを出していますが、スキル自体が5年で陳腐化すると言われています。特にデジタルは動きが早いので、勉強時間が伸びていますね。毎日少しずつ勉強していかないと、追いつかないでしょうね!

キャメロンさん:

勉強し続けること。ポストコロナ時代に求められる人材になるためには、結局はこれが最も重要だと思います。

 

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