【企業インタビュー】ユニリーバ・ジャパン株式会社(マーケター編1)
ユニリーバで活躍するブランドマーケティング担当のお二人に、入社の決め手、現在の担当ブランドなどについてお聞きしました
リプトンブランドマネジャー 元島 陽子 様
(ブランドマネジャー リプトンリーフ&パウダー)
2012年9月入社。前職は日系の自動車メーカー勤務。ユニリーバ入社後、Lux、Doveのブランド・ビルディング(BB*)を担当。現在はリプトンおよびサー・トーマス・リプトンの手で淹れる紅茶(ティーバッグやティーパウダーなど)を担当。コーヒーや緑茶などを含む手淹れ飲料市場で、どれだけ紅茶のシェアを伸ばせるかが目下のミッション。
*ブランド・ビルディング(BB):日本市場におけるブランド戦略を作成し実行する組織。
AXEアシスタントブランドマネジャー 橋本 優一 様
(アシスタント グローバルブランド ディベロップメント マネジャー)
2013年1月入社。前職は商社勤務。入社後一貫して、男性用化粧品ブランドAXEのブランド・ディベロップメント(BD*)を担当。6~7割は日本市場向けだが、台湾、香港向けのサービスサポートもしている。新商品のローンチが目下のミッション。
*ブランド・ディベロップメント(BD):ブランドの長期的戦略を考え、ブランドコンセプトや新製品のローンチ計画を立てる組織。
豊富なラインナップと魅力的なブランドで市場をリードするユニリーバ・ジャパン。人気製品AXEとリプトンのマーケティング担当のお二人に、入社の決め手などをお伺いしました。3回にわたってお届けする第2回目です。(役職はインタビュー時のものです)
※この記事は2015年9月に公開した内容を再編集して公開しております。
ーこれまでのご自身のこと、そしてユニリーバに興味を持ったきっかけを教えてください
橋本:前職は商社で、アメリカに出張することが多かったのですが、その際は現地のスーパーでシャンプーやボディソープを購入していました。ある時、見たことのないボトルに入った「シャワージェル」と書かれた商品が売られていました。それがAXEでした。使ってみると、香りがとても良いこと、日本で出回っているボディソープと違い、身体に直接塗って使う形状(シャワーを浴びながら使える)がとても気に入りました。色も真緑で、すごくドぎつかった(笑)。
アメリカでは、AXE以外にも男性用化粧品のバラエティが豊富で、競合商品もたくさんあります。こんなに幅があるのに、日本にはない。そこにまず面白さを感じて、このマーケットで強くて、ポテンシャルがあるブランドはどれだ、となった時に、やはりAXEだろう!と思いました。
そこからは、転職エージェントも通さずに、勝手にユニリーバにレジュメを送りました。「やりたい、やらせてくれ、面接して欲しい」と。ただ、なかなか聞いてもらえなかった(笑)。そこで、エージェントを通した転職活動に切り替えました。「ユニリーバの仕事以外はよこすな」と伝えて、それから2年ぐらい待ちました。
そんなある日、転職エージェントから「橋本さん、ユニリーバさんやっと出ました!」と連絡がありました。日本法人のマーケティング組織を拡大するに当たり人を探している、という話でした。AXEではなく、Luxの担当だったのですが、「この会社に入ればいつかはチャンスが回ってくるだろう。まずは入り込むことだ!」と思ってエントリーしました。
ー元島さんはいかがですか?
元島:私は国内の大手自動車メーカーに7年ほど勤めていました。小学校から大学までアメリカで過ごしていたのですが、高校生のころから「私はあの自動車メーカーでマーケティングをやるために今学んでいるんだ」という気持ちでずっと勉強をしていました。
大学卒業後、希望が叶ってその会社に入社し、イベントやスポーツの協賛など、コーポレートマーケティングに近い業務に3年間従事しました。その後、自分の大好きな会社のビジネスの根幹に携わりたいと思い、それまでとは真逆の、車を作る側の部署に異動し、プレミアム車種の各国での価格や収益を管理・決定する業務を経験しました。とても大好きな会社でしたし、今でも世界で一番の会社だと思っています。
ただある時、大きな組織では自分がやりたいことがあっても、それが出来るように組織を変えないと成し遂げることが出来ない、ということを実感したんです。自分の人生の大半を「やりたいことがやれる組織作り」に費やすのか、「やりたいことが出来る組織で、やりたいことを実現すること」に費やすのか、自問自答して、「今やりたい」と結論を出しその会社を退職することにしました。
車は高額で、単にテレビ露出をさせたからと言って、簡単に売れるものではありません。私は次のキャリアでは、マーケターの力が大きく左右する世界で仕事がしたいと考えていました。そんな時、尊敬する前職の先輩がユニリーバに転職しました。特に彼と転職について話したわけではありませんが、前職でも輝かしいキャリアを持っていた彼が、何の後悔もなく転職して行ったことについて「すごいな」と思い、それでユニリーバに興味を持ちました。
ーユニリーバの選考はどのように進みましたか?入社の決め手は?
橋本:希望と違い、Luxのポストでしたが、選考は順調に進みました。でも最終面接の時に、当時のダイレクターに「あなたは何かを隠しています。本当はLuxをやりたいわけではないのでしょう?」と言われました。「あなたは本当に 女性がキレイになるためのシャンプーを売れるんですか?その顔で?」と(笑)。そこで「実は」と、それまでの経緯を話しました。そうしたら、その方が「国内市場でAXEに力を入れる話があるので、社内で確認してみます。」と言ってくださいました。そこから2週間ほどして「面接に来てください」と連絡をいただき、AXEのブランドアシスタントとして採用されました。
入社して3年経ちますが、今でもこのブランドが大好きです。プライベートで海外に行った時も、現地のAXE製品を買ってきて、この製品が日本で展開されていない理由は何なのかをチームと議論したりします。
ー橋本さんにとっては念願の入社、そしてAXE配属となったわけですね。元島さんはいかがでしょうか?
元島:ユニリーバの面接はとにかくユニークでした。はじめの電話面接で出てきた方は典型的な「強い女性」というタイプで「あなた何やりたいの?ビジョンとしては何を持っているの?」と、どんどん質問を投げてきて、とてもスピード感のある面接でした。人事も「こういう人を求めているの!」という想いをぶつけてきて、なんだか不思議な会社だな、という印象を持ちました(笑)。
数日後には「最終面接です」と連絡が来て「早い!」と思いました。最終面接は現在のラインマネジャーとの面接でした。彼女もすごくユニークな人で、「あなたがすごくポジティブなことを言うことは分かったけど、あなた、どんな人が嫌い?どんな人と仕事したくないの?」と聞かれて(笑)。私は「自分で意思を持たない人とは仕事をしたくないです」と答えました。彼女は「そうよね!私も大嫌い!」と共感してくれて、そのやり取りにびっくりしました。
そしてその後、是非いらしてください、という返事をいただきました。ユニークな方々が面接の場でも迷うことなく自分を出して、しかも良い意味で人にインパクトを与える、そういう人が中心にいる会社って良いなと思いました。もう、迷わず入社を決めました。 橋本の話ですが「AXEのポジションがある」という連絡が2週間後に来る、というスピード感もすごいと思います。
橋本:確かに、確かに。 スピード感はすごく感じます。それは仕事の時もありますね。
ー入社前のイメージと入社後でギャップを感じることはありましたか?
元島:入社してみたら、意外と日本らしい企業だな、と感じました。BB*は営業部門と仕事をすることが多く、どちらかというと日本的な方が多いです。外資系企業と言っても、日本で営業している会社である以上、日本企業と変わらないところはあります。だからこそ、ガチガチの日系企業から来た自分でも、全く知らない世界ではなく、理解できることが多いと感じました。一方で、求めようと思えば、スーパーインターナショナルにもいける。とても幅広く仕事ができると思いました。
ユニリーバに入社してからは、一貫して国内向けの業務に当たっています。海外で育ち、前職ではグローバルマーケティングやグローバル戦略など、グローバル目線の業務に多く携わってきました。海外向けの業務では、視野が広がり、やりたいことを明確に持てるという点で洗練されたマーケターへの経験を積むことができましたが、国内市場での市場開拓は新しい経験です。10年後の自分のキャリアを考えた時、自分が埋めるべきは絶対に国内向けのBB*のほうであると思っているので、当面異動する気はありません。
*ブランド・ビルディング
ー橋本さんはいかがですか?
橋本:私が入社後に感じているのは、ユニリーバがとても消費者の目線に立ったビジネスをしていることです。これまで社会人として「消費者のため」と言いながらもプラクティカルな決断をする場面を見てきました。しかし、ユニリーバではどこまで行っても「消費者」がキーワードです。社内では度々タフなディスカッションがあって、時には納得できないこともあります。ただ、話している先に必ず「消費者」がいて、最後はみんなそこに着地をする。社会人としてそこまでのパッションを感じることはなかったので、とても面白さを感じています。
そして、ユニリーバでは「消費者」と同じくらい「ブランド」のことを思っています。「モノを売ってビジネスを作る」という点では消費財・メーカーも商社と同様です。しかし、商社は、ないところに「モノ」を持って来たらお金が発生するのに対し、今の仕事は色々な「モノ」がすでにある市場の中で、ブランドとしてどうお金を生むのか、がポイントです。
ユニリーバでは、「ブランドとしてするべきでないことでお金を稼いでも、誰もハッピーじゃない、それはむしろブランドにとっては災難だ」と言われます。ブランドにバリューを置いて議論した結果、目先の売上を取らない、という判断を社内で何度も見てきました。ブランドに携わる人間として、素晴らしいなと思っています。「結局数字じゃないか」とよく言うと思うんです。それもあると思いますが、ユニリーバの場合はもう一つ「それはブランドとして正しかったのか、ブランドとしてそれは正しい勝ち方だったのか」と考える場面がよくあります。それは入社してからのポジティブなギャップとして感じるところですね。
代表者 | 代表取締役社長 ジョイ・ホー |
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従業員数 | 社員数: 約400名 |
事業内容 |
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 ユニリーバ・ジャパン株式会社 ユニリーバ・ジャパン・サービス株式会社 ユニリーバ・ジャパン・ビバレッジ株式会社 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 |
本社所在地 | 〒153-8578 東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー |
事業所 | 本社(東京)、ユニリーバ・ジャパン開発センター(神奈川)、相模原工場、静岡工場 |
企業ホームページ | https://www.unilever.co.jp/ |